広島に、ドリス・サルセド(Doris・Salcedo)展を見に行きました。未だに、その衝撃は残っています。彼女のテーマは、「暴力に会い不遇な死を迎えた人を悼む。」という大変重いものです。彼女の出身地、南米コロンビアでは内戦が続き多くの方が亡くなっていています。そのことに対して、真向から向き合う作品です。しかし暴力や戦争は、世界中で起こっている。そのような本質的なテーマを持つ作家ですから、世界的に評価されているのです。

「作品が軽いと、人に受けないんじゃないか?」とか、逆に「作品が重いと、人が買ってくれないんじゃないか?」とか、「人の作風を取り入れると、真似と言われるかも?」とか、作品制作では細かくあれやこれやと悩んでしまうのは、私だけでは無いと思います。しかし、人間の生死という根源的なテーマの前に、細かい考えが吹っ飛ばされました。サルセドさんの作品は、恐ろしかったり、重かったり感じるものが多かったのですが、これは間違いなく感動でした。

いいアートに触れることは、本当に素晴らしいことなのです。私も、作品を刷新することになりました。本物には、人生の見方を変えるほどの力があるのです。