天地人という言葉は、建築科の授業で教わりました。

榎倉康二氏死去の後、喪失感を埋めるためだったかもしれません、私はむさぼるように建築科の授業を受けていたのですが、やはり素晴らしい先生は各科にいらっしゃるようで、論文の副査にもなっていただいた益子義弘先生に「天地人」を教えて頂きました。

天と地の間に、人は住まう。
建築では、「天→屋根、人→柱、地→基礎」に例えられ、その土地の気候に合わせて、屋根勾配や瓦の質や地盤の作り方があるという話しでしたが、要は環境に合わせて人は生きてきたということです。
建築の意味、基礎がそこにあることは、思想的にも叡智というものを感じさせるものでした。古来、人は自然と共に暮らし、生を分かち合うための、「分限や分別」を持っていたのだろうなと思うのです。

異常気象や天変地異が起こることが多くなりました。悲惨なニュースに触れる度に、天地人のことを思い出します。自然と共に暮らし、生を分かち合うバランスがおかしくなったからでは無いか?と勘ぐってしますのです。